はじめに
粘着テープは貼り合わせた後、内部応力による反発を受けるため、時間が経過するにつれてズレが生じてしまいます。
このズレに対する粘着テープの抵抗を測定したものが保持力です。
粘着テープは壁などに貼り合わせて長時間放置する形で使用することが多いため、この保持力は非常に重要な測定項目です。
この保持力の測定方法はJISによって定められており、本記事ではこの測定方法について説明いたします。
試験サンプルの作成
まずは保持力試験を行うための測定サンプルの作成方法についてです。
以下に記す手順でサンプルを作成してください。
粘着テープ
保持力試験では粘着テープの接着面が25×25 mmですので、粘着テープは25 mm幅となるようにカットしましょう。
この粘着テープが片面剥離タイプではそのまま使用して問題ありません。
しかし、両面テープの場合、片面にポリエステル(PET)フィルムを貼って裏打ちします。
貼り合わせるPETフィルムは厚さが25 μmのものを使用します。
試験板
試験板はステンレス鋼板(SUS304)を使用します。
この試験板の表面をトルエンなどの溶剤で十分に拭き、乾燥させてください。
乾燥時間は規定されていませんが、室温で20分以上静置することをおすすめします。
乾燥後、試験板に対して25×25 mmのサイズとなるように粘着テープを貼り合わせます。
テープ貼り合わせ後、2 kgゴムローラーを一往復させてテープを密着させます。この時の圧着速度は300 mm/minです。
ローラーによる密着後、テープは20分以上静置させます。
これで試験サンプルの作成は完了です。
保持力試験の方法
保持力測定は基本的に保持力試験機を使用して行われます。
保持力試験機-安田精機株式会社
上記の試験機に測定サンプルをセットし、所定の荷重を一定時間かけた際のテープのずれ、落下時間を測定します。
保持力の測定条件は様々ありますが、よく行われるものを以下に記します。
条件①
- 測定項目:粘着テープのずれ
- 測定温度:40℃
- 測定時間:1時間
- 荷重:1 kg
条件②
- 測定項目:粘着テープの落下時間
- 測定温度:23℃
- 測定時間:24時間
- 荷重:1 kg
粘着テープの種類によっては、条件①の測定方法ではサンプル間に差が全く見られない場合があります。
その場合は条件②の測定方法を試してみてください。