高分子を作る反応、「重合」について解説

はじめに

高分子は私たちの身の回りの製品に広く使用されています。

例えば、ペットボトルや服の繊維、タイヤなど様々な物に高分子は利用されます。

これらの高分子は一般的に、低分子量の化合物であるモノマーを重合させて合成されます。

このページでは、「重合」がどのようなものなのか概要を解説します。

重合の種類

重合はその反応様式によって反応の名前が異なりますが、大きく分けて2つの方法に分類されます。

連鎖重合

ラジカルの反応によってモノマーの高分子化が進む重合方法を「連鎖重合」と言います。

※ラジカル:不対電子をもつ原子、分子、イオン

連鎖重合ではラジカルを形成する必要があるため、電子が移動しやすいビニル基などの二重結合を含有するモノマーが使用されます。

ビニルモノマーは、エチレンやプロピレン、スチレンやどのエチレンの誘導体となる構造を持つものが多いです。

連鎖重合の種類

連鎖重合はラジカルによって反応が進行しますが、その進行の様式によって名称が異なります。

  • ラジカル重合
  • アニオン重合
  • カチオン重合
  • 配位重合
  • カチオン重合

共重合

連鎖重合は単独のモノマーのみでも進行することが可能ですが、モノマーを複数混合させて重合することも可能です。

このように、複数のモノマーを使用した重合を「共重合」と言います。

重合で得られる高分子をポリマーと言いますが、共重合で得られた高分子はコポリマーと呼びます。

リビング重合

連鎖重合はラジカルを介して反応を進めるため、ラジカルが様々なものと反応を起こしてしまいます。

モノマー同士で反応した場合は重合が進みますが、ラジカル同士で反応する「再結合停止反応」や他のモノマーやオリゴマーから水素を引き抜く「不均化停止反応」を起こす可能性もあります。

停止反応が起こってしまうと、それ以上反応が進まなくなってしまうため、生成されるポリマーは分子量の幅が広いものになってしまいます。

この分子量の幅を狭くするため、停止反応を起こらないようにする反応を「リビング重合」と言います。

リビングには以下のような種類があります。

  • 原子移動ラジカル重合(ATRP)
  • 可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)
  • ニトロキシドを介した重合(NMP)

上記の反応では、特殊な試薬を用いることでラジカル種とドーマント種が切り替わる状態となります。

ラジカル種では反応が進行しますが、ラジカルが特定の原子・分子でキャップされているドーマント種では停止反応が抑制されます。

そのため、リビング重合では分子量分布の幅が非常に狭い(1〜1.3)ポリマーが得られます。

逐次重合

反応性の官能基を持ったモノマー同士が反応を繰り返すことで高分子を形成する重合を「逐次重合」と言います。

逐次重合を起こすモノマーは構造中にカルボキシ基やヒドロキシ基、アミノ基などを含有しています。

逐次重合の種類

逐次重合も連鎖重合と同様に、反応の様式によって複数の種類に分けられます。

また、逐次重合で出てくる「縮合」とは、反応によってモノマーの構造の一部が脱離し、副反応物を生じる反応のことを言います。

  • 重縮合
  • 重付加
  • 付加縮合

※基本的に連鎖重合と逐次重合は別物になりますが、ラジカルの反応とモノマー同士の反応が合わさった「連鎖縮合重合」という反応も存在します。

共重合と縮合の違い

共重合と縮合ではモノマーを2種類以上反応させる点では共通しています。

しかし、共重合ではラジカルを介した付加重合であるのに対し、縮合ではモノマーの一部の分子・原子が脱離して反応が進行します。

この反応様式の違いによって共重合と縮合は分けられます。

まとめ

本ページでは高分子を作る上で最も基本的となる重合とはどのようなものなのか概要について解説いたしました。

各反応については、個別のページで紹介していきますので、そちらをご参照ください。

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