力を電気に変えるセンサー、「ピエゾ素子」について解説

はじめに

皆さんは歩くことで発電することが可能な道路についてご存知でしょうか?

ロンドンのウエスト・エンドに位置するバードストリート。ここに、「歩いて発電する道路」が設置されています。2012年のロンドンオリンピックに合わせて、イギリスの企業Pavegenが開発したこの歩道。当時は歩道橋に設置され、夜の照明の電力供給源として活躍しました。

「歩いて発電できる」道路が、ロンドンに

昨今では環境問題が強く言及されており、環境負荷が少ない発電方法の使用が望まれています。

風力発電や太陽光発電、地熱発電などは環境に優しいと言われていますが、発電機を作る場所や費用、使用可能年数を超えた後の処理などの様々な課題点を抱えています。

これらの発電方法と比較しますと、人が道路の上を歩くだけで電気が発生する発電方法は、大規模な場所を必要としません。

この「歩いて発電」は、どのようなメカニズムで起こっているのでしょうか?

端的に説明しますと、人が歩いた際に発電装置が沈み込み、その力によって電気が発生します。

しかし、これだけではメカニズムの説明としては不十分でしょう。

そこで今回は、力による発電を可能としているセンサーである、「ピエゾ素子」について解説していきます。

圧電効果

ピエゾ素子による発電は「圧電効果」という現象を利用しています。

圧電効果は「物質に圧力を圧力に比例した分極が現れる現象」のことを言います。

これでは分かりにくいので、より細かく原理を説明していきます。

圧電効果の原理

まず物質に圧力をかけると電気が発生する原理についてです。

物質に圧力をかけると言いましたが、あらゆる物質が圧力で電気を生み出すわけではありません。

電気を生む物質は水晶や一部のセラミックのような結晶構造を持ったものになります。

今回は水晶を例にして説明いたします。

水晶による圧電効果

一般的に水晶と言われるものは鉱物学では「石英」であり、二酸化ケイ素(SiO2)から成ります。

水晶はケイ素と酸素という地球上でありふれたものから成っているため、人工的に大量合成できることができます。

水晶が特異的に電気を生み出す理由は、その特徴的な結晶構造によるものです。

二酸化ケイ素はケイ素を中心として、酸素原子が4つ配置した四面体構造を形成しています。

実はわかっていなかった水晶振動の仕組み-Spring8

ケイ素は陽イオン、酸素は陰イオンとなりますので、結晶が圧力で歪むことで電荷の偏りが生じ、電圧が発生して電気が流れます。

これが圧電効果の原理となります。

ピエゾ素子

ピエゾ素子は以下のような圧電体(水晶・セラミックス)を電極で挟んだような構造をしています。

圧電(ピエゾ)素子の構造-松定プレシジョン

また、ピエゾ素子は電気をかけることで圧電体を振動させること(逆圧電効果)も可能で、精密な動きが求められる場面で使用されています。

ピエゾ素子から生み出される電気は微小なものですので、より多くの電気を得る場合は圧電体を積層させて使用します。

まとめ

今回は圧力から電気を生み出すピエゾ素子について解説いたしました。中々耳にすることはない物ではありますが、私たちの身の回りでも使われていますので、注目していきたいですね!

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