生活に欠かせない印刷技術について解説

雑学

はじめに

現代社会において、印刷技術は私たちの生活に不可欠なものとなっています。

本や写真など、私たちの身の回りには様々な印刷物があり、どれも欠かすことはできません。

これらの印刷物を作る印刷技術ですが、一概に「印刷」とは言っても、その方法は大きく異なります。

そこで今回は、私たちの身の回りにある本や写真を作る「印刷」について説明していきます。

印刷技術

印刷は一般的には原稿となる物を基にした版にインキをつけて、紙にインキを移す事で同一の画像を多数複製する技術のことを言います。

印刷にはインキを載せるための”版”が使用されるため、使用する版の種類によって、以下の4種類に分けられます。

1. 凸版(フレキソ)印刷

2. 凹版(グラビア)印刷

3. 平板(オフセット)印刷

4. 孔版(スクリーン)印刷

他にも、版を使用しない印刷方法として、インクジェット方式なども行われています。

ではそれぞれの印刷方式について解説していきます。

凸版(フレキソ)印刷

凸版印刷は版の凸部にインキを転写させ、印刷する方式のことを言います。

フレキソ印刷ではゴムや感光性樹脂などから作られる弾性の凸版が使用されます。

また、フレキソ用のインキは溶剤(アルコール)を使用した乾燥性が高いものが多いです。

フレキソ印刷は凸版を使用するため、ダンボールや布などの平滑ではない物に印刷が行いやすいメリットがあります。

一方で、凸版にインキを載せる関係上、凸版の溶剤耐性(使用溶剤の制限)、インキ転移量が少ない(少量で高濃度・高着色にする必要性)デメリットを抱えています。

凹版(グラビア)印刷

凹版印刷は版の凹部(くぼみ)にインキを充填し、転写させることで印刷する方式のことを言います。

凹版印刷ではインキを印刷物に十分に載せることができるため、濃淡の表現がしやすく、仕上がりが綺麗になります。

そのため、写真集などの高品質が求められる印刷物で広く用いられています。

また、版に充填するインキの種類を変更することで様々な印刷物に対応可能であり、非常に汎用性に優れています。

一方で、使用するインキの粘度は凸版印刷と比較してかなり低くする必要があり、線が細い部分の印刷ではにじみが生じる可能性があります。

平版(オフセット)印刷

平版印刷では、凸版印刷や凹版印刷とは異なり、印刷部位と非印刷部位に凹凸がない版を用いて印刷を行います。

凹凸なしでどのように印刷部位を分けているのかと言うと、平版の親水・親油性を利用して行なっています。

平版の印刷部位は親油性、それ以外の部位は親水性となっており、親油性のインキと水を使い分けて印刷する形となります。

平版印刷は極性の違いを利用するため、印刷部位を明瞭にすることが可能なメリットがあり、細かい文字を印刷することに長けています。

一方で、載せられるインキ量が少ないため、印刷物の濃度が出辛いことがデメリットとして挙げられます。

そのため、新聞やポスター、カタログなどの大量印刷に使用されることが多い特徴があります。

孔版(スクリーン)印刷

孔版印刷はメッシュのような細かい穴(小孔)の集合から成る版を印刷する印刷方式です。

細かい穴がある版の内、非印刷部位を乳剤などで遮蔽することで印刷部位と非印刷部位を分けています。

孔版印刷は凸版印刷や凹版印刷とは異なり、版を作ることが容易であり、印刷方法が簡便で特殊な設備を必要としないため、安価である特徴があります。

更に厚塗りが可能であるため、鮮やかな色彩、皮膜の強度や耐薬品性などの特性を付与することが可能です。

一方で、色の再現性が他の印刷方式よりも低く、インキ使用量が多いことから、乾燥速度や環境負荷に難を抱えています。

まとめ

今回は私たちの身の回りで広く使われる印刷物の印刷方式について解説していきました。今後も印刷について情報を発信していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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