はじめに
無機材料とは、炭素を主成分としない材料の総称で、金属、セラミックス、ガラスなどが含まれます。これらの材料は高い耐久性や耐熱性を持ち、幅広い分野で利用されています。
特に金属は極めて高い強靭性や耐衝撃性を持ち、加工がしやすい、熱や電気を通しやすいといった特徴的な性質から、構造材料や機械部品などの幅広い用途で使用されます。
今回は、無機材料の中でも「金属」について詳しく解説していきます。
金属の特徴
金属は、以下のような特性を持つ無機材料の一種です。
強靭性と耐衝撃性
金属は強靭性(じん性)が高く、衝撃を受けても割れにくいという特徴があります。
セラミックスやガラスは非常に硬く、耐熱性や耐摩耗性に優れていますが、衝撃には弱く、割れやすいという欠点があります。
例えば、陶器のカップやガラスのコップは落とすと簡単に割れますが、金属製のカップならへこむことはあっても割れることはありません。
このため、構造物や機械部品など、衝撃を受ける可能性がある用途には金属がよく使われます。
電気・熱伝導性が高い
金属の電気伝導率
金属は自由電子と呼ばれる、原子間を自由に動ける電子をもつため、他の材料より電気が通りやすい特徴があります。
金属の電気伝導率は以下の表のようになります。
金属 | 電気伝導率(×10⁶ S/m) | 主な用途 |
---|---|---|
銀(Ag) | 63.0 | 高性能導電材料(接点・半導体) |
銅(Cu) | 59.6 | 電線・電子機器 |
金(Au) | 45.2 | 高耐久導電部品(コネクタ) |
アルミニウム(Al) | 37.7 | 高圧送電線 |
鉄(Fe) | 10.0 | 磁性材料・鉄道のレール |
単純な電気伝導率は銀が優れますが、高コストのため、銅を使用されることが多いです。使用する金属の選定方法には電気伝導率だけではなく、コストや重量など、他の多くの性能とのバランスが重要となります。
金属の熱伝達率
次に金属の熱伝導率を見てみましょう。金属の熱伝導率は先ほど説明した自由電子がかかわっています。
金属は自由電子をもつこと、金属原子が規則正しく配列していることから、熱が伝わりやすいです。
代表的な金属の熱伝導率は以下の通りです。
金属 | 熱伝導率(W/m·K) | 主な用途 |
---|---|---|
銀(Ag) | 429 | 高性能ヒートシンク |
銅(Cu) | 401 | 放熱部品・鍋・ヒートパイプ |
金(Au) | 317 | 電子部品・熱接点 |
アルミニウム(Al) | 237 | 放熱フィン・熱交換器 |
鉄(Fe) | 80 | 鍋底・建築材 |
電気と同様に、銀・銅は熱の伝達率が高い特徴があります。
他の材料との比較
金属の電気・熱伝導性をセラミックスやガラスと比較すると、以下のようになります。
材料 | 電気伝導性(S/m) | 熱伝導率(W/m·K) |
---|---|---|
銅(Cu) | 59.6×10⁶ | 401 |
鉄(Fe) | 10.0×10⁶ | 80 |
アルミナ(Al₂O₃, セラミックス) | ~10⁻¹⁰ | 30 |
ガラス | ~10⁻¹² | 1.0 |
プラスチック | ~10⁻¹⁵ | 0.1 |
セラミックスやガラスはほぼ絶縁体で、電気を通しません。
熱伝導性についても、金属が圧倒的に高く、放熱用途に適していることがわかります。
延性・展性
延性は物質が引っ張られたときにどれだけ長く引き延ばされるかを示す性質、展性は物質が圧縮されることによって広がり、形を変える性質を指します。
金属はこれらの能力により、薄く広げたり加工することが可能です。
金属光沢
金属は自由電子によって光を反射することで光沢をもちます。
代表的な金属の種類
金属は、「鉄系金属」と「非鉄金属」に分類されます。
① 鉄系金属
鉄を主成分とする金属で、代表的なものには以下があります。
- 鉄(Fe):強度が高く、建築や自動車に使用される
- ステンレス鋼:鉄にクロムやニッケルを加え、耐食性を向上させた合金
② 非鉄金属
鉄以外の金属を指し、軽量や耐食性などの特徴を持ちます。
- アルミニウム(Al):軽くて加工しやすく、航空機や飲料缶に使われる
- 銅(Cu):電気伝導性が高く、電線や電子部品に利用される
- チタン(Ti):軽量で耐食性が高く、医療や航空分野で活躍
③ 合金(複数の金属を組み合わせた材料)
合金とは、2種類以上の金属を混ぜることで、個々の金属にはない特性を持たせた材料です。代表的な合金には以下のようなものがあります。
- 青銅(ブロンズ)(銅 + スズ):硬く耐食性があり、美術品や歯車に利用される
- 黄銅(真鍮)(銅 + 亜鉛):加工しやすく、楽器や水道部品に使われる
- ジュラルミン(アルミニウム + 銅 + マグネシウムなど):軽くて強度が高く、航空機部品に適用される
合金は、強度や耐食性、加工性を向上させるために工夫され、さまざまな製品に活用されています。
金属の用途
金属は、その特性を活かして多くの産業で使用されています。
金属 | 主な用途 |
---|---|
鉄 | 建築、機械、自動車 |
アルミニウム | 航空機、飲料缶、電線 |
銅 | 電気配線、電子部品 |
チタン | 医療機器、航空宇宙、スポーツ用品 |
特に、リサイクル性が高いのも金属の特徴の一つです。アルミニウムや銅は、使用後も再利用されることが多く、環境負荷を抑える材料としても注目されています。
まとめ
金属は、無機材料の中でも耐久性・導電性・加工性に優れた重要な材料です。鉄系金属と非鉄金属に分類され、それぞれ異なる特徴を活かして幅広い分野で利用されています。