私たちの身の回りにある「材料」について

はじめに

私たちの生活は、テレビやテーブル、ボールペン、携帯電話などの無数の物によって支えられています。

これらの物は木材や金属、セラミック、プラスチックなどの数多くの材料から構成されています。

しかし、世の中にある材料の特徴について詳細に把握できている方は中々いないでしょう。

そこで今回は、私たちの身の回りにある物を形成している「材料」について解説いたします。

材料の分類

材料には、金属などの無機物から成る無機材料と有機物から成る有機材料があります。

無機材料・有機材料の違いについては以下の通りです。

・有機材料:炭素が中心となった構造を持つ物

・無機材料:構造中に炭素を含まない物

有機材料は炭素が中心の物になりますが、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)のような簡単な構造を持つ物は対象外となります。

また、炭素だけで構成されるダイヤモンドや黒鉛(グラファイト)なども有機材料ではなく無機材料に分類されます。

無機材料は基本的に有機材料を除く全ての物と認識してもらえれば大丈夫です。

有機材料・無機材料の分類

上記では有機材料と無機材料の違いについて説明いたしました。

では次に有機材料と無機材料にはどのような物があるか説明いたします。

有機材料

有機材料は木材、天然ゴム、プラスチックに分けられます。

それぞれの構造については以下の通りです。

①木材

私たちの身の回りにある木材ですが、セルロースとヘミセルロース、リグニンという物質から構成されています。

セルロースは以下のような構造をもった多糖類で、炭素、酸素、水素から構成されています。

セルロースの構造

そしてヘミセルロースですが、セルロース以外の多糖類を指します。

そしてリグニンですが、以下のような非常に煩雑な構造を持っています。

リグニンの構造

リグニンは非常に複雑な構造ですが、こちらもセルロースと同様に炭素、酸素、水素で構成されています。

②天然ゴム

天然ゴムはゴムの木から取れる樹液(ラテックス)を加工することで得られる物質です。

ラテックスを固めて洗浄・乾燥させたものを天然ゴムと言い、生ゴムに硫黄を混ぜて加熱(加硫)することでゴムに弾性を生み出すことができます。

天然ゴムはイソプレンという物質が反応(重合)して鎖長が伸びたポリイソプレンという構造を持っています。

このポリイソプレンに対して数%の硫黄を加えることで架橋を形成し、弾性が生まれます。

また、加える硫黄を30〜40%まで増やすと、架橋が増えることでポリイソプレンはの弾性は失われます。

この弾性が失われた硬いゴムのことをエボナイト樹脂と言います。

③プラスチック

プラスチックは石油から得られるモノマーを重合することで得られる物質を指します。

また近年では、石油ではないサトウキビなどのバイオマスを原料としたバイオプラスチックも作られています。

プラスチックの原料であるモノマーは、原油を精製プラントで分離することで得られるナフサを更に熱分解することで得られます。

ナフサとは?-sanipak

ナフサから得られるエチレンは以下のような構造を持っており、開始剤を加えることでポリエチレンに変化します。

エチレンの構造

無機材料

無機材料は、鉄や銅などの金属材料とガラスや陶磁器のようなセラミックスに分けられます。

有機材料ではなく、更に金属ではないものがセラミックスに分類されます。

金属

金属は以下の5つの性質を持ちます。

1.常温で固体である

2.塑性変形が可能で展性、延性をもつ

3.不透明で金属光沢をもつ

4.電気・熱伝導性が高い

5.水溶液中で陽イオンを出す

また、金属結合という特有の結合によって原子が結合しています。

セラミックス

セラミックスは人為的な処理によって製造された非金属無機固体材料のことを指します。

この”人為的な処理”ですが、熱処理や酸処理などの処理方法があります。

セラミックスを作るために「焼結」という熱処理を行います。

焼結は固体粉末の融点以下の温度の熱をかけることで、粉末が固まる現象を言います。

まとめ

今回は私たちの身の回りにある材料について解説いたしました。今後も材料についてより深掘りしていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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