効率的に電気を熱に変える装置、「ペルチェ素子」について解説

雑学

はじめに

皆さんは「ペルチェ素子」というものをご存知でしょうか?

普段、何気なく過ごしていてペルチェ素子という言葉を聞くことは稀でしょう。

このペルチェ素子は電気を流すことによって発熱・吸熱する特性を持っています。

電気で熱を出す、冷却するだけであれば、他にも様々な方法がありますが、ペルチェ素子は高精度な温度管理が可能、小型で騒音・振動がない、環境に優しいなどの複数の利点を有します。

これらの特徴から、ペルチェ素子は医療用の冷蔵庫、CPUなどの小型機械の冷却などに使用されています。

今回はこのペルチェ素子がどのようにして動作しているのか解説していきます。

ペルチェ効果

ペルチェ素子はペルチェ効果と呼ばれる現象を応用した半導体素子のことを指します。

そのため、ペルチェ効素子について理解するためには、このペルチェ効果を知る必要があります。

ではペルチェ効果とはどのような現象なのでしょうか?

端的に説明するとペルチェ効果とは、「異なる金属を接合したものに電流を流した際、金属の接合部で熱が発生する現象」のことを言います。

これと似た現象としてゼーベック効果というものがあります。

ゼーベック効果については以下の記事を参考にしてください。

ゼーベック効果は異なる金属に熱をかけると電位差が生じて電気が流れる現象であり、一方でペルチェ効果は電気を流すことで熱が発生する現象になります。

ゼーベック効果:熱 → 電流

ペルチェ効果:電気 → 熱

ペルチェ素子

ペルチェ素子は金属、p型半導体、n型半導体の3つから構成されています。

p型半導体は、電子が不足している穴(正孔)に電子が移動することで+の電気が流れる半導体です。

またn型半導体は、過剰な電子(自由電子)が移動することで−の電気が流れる半導体を指します。

熱の発生理由

通常、同一の金属内を電気が流れる場合、必要となるエネルギーが少ないため、熱は生じにくい状態となっています。

しかし、金属に異なる組成を持ったp型・n型半導体を接合すると、そのバランスが崩れてしまいます。

電子が不足している場所から豊富な場所に移動する場合は、移動に要するエネルギーが余りますので、その余剰分が熱として放出されます。

一方で電子が豊富な場所から不足している場所に移動する場合は、移動に要するエネルギーが不足するため、その不足分を周囲の熱で補います。

この2つの発熱・吸熱の仕組みの組み合わせにより、ペルチェ素子は電気を熱に変換することが可能になっているのです。

まとめ

今回は電気を熱に変換してくれるペルチェ素子について解説していきました。日常生活では中々聞くことがないものではありますが、私たちの生活を支えてくれる大事なものになりますので、ぜひ覚えておきたいですね!

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